東京高等裁判所 昭和30年(う)1047号 判決
被告人 岩間幸一
〔抄 録〕
論旨は、原判決はその主文において被告人を賍物牙保及び横領の罪について懲役一年六月、罰金千円に、覚せい剤取締法違反について罰金二千円に処する旨を宣し、その法令の適用において刑法第二五六条第二項、第二五二条第一項、第五六条、第五七条、第五九条、第四五条前段、第四七条、第一四条、第一八条、覚せい剤取締法第一七条第三項、第四一条第四号と摘示し、本件賍物牙保及び横領の罪と覚せい剤取締法違反の罪とは併合罪の関係にあるにかかわらず刑法第四八条第二項を適用しないで賍物牙保の罪につき定められた罰金と覚せい剤取締法違反の罪につき定められた罰金とを各別に課したのは法令の適用を誤つた違法がある、というのである。よつて原判決及び記録を調査すると、本件賍物牙保及び横領の罪と覚せい剤取締法違反の罪とは所論のごとく併合罪の関係にあることは明らかなところであるから、原審が本件において覚せい剤取締法違反の罪につき罰金刑を選択して処断すべきときは、刑法第四十八条第二項を適用して賍物牙保の罪につき定められた罰金との合算額以下において一個の罰金刑を科すべきことはまことに所論のとおりであつて、原判決がこれと異なり、被告人に対し所論のごとく二個の罰金刑を科したのはまさに法令の適用を誤つたもので、この誤は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決は爾余の論旨につき判断をなすまでもなく、すでにこの点において破棄を免れない。論旨は理由がある。
註 当審判決の主文は「原判決を破棄する。被告人を懲役一年六月及び罰金三千円に処する。右罰金を完納することができないときは金二百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する」